「朝食は何時が良いかしら?」
「何時でも良いですよ」
「私も何時でも良いの…朝ゆっくりだったら8時からでどうかしら?」
「じゃあお願いします」 朝もカーテンは閉まっている
霊泉寺温泉、車の運転は超絶荒い。遊楽の前をフルアクセルで細い道を走り抜けていく。聞いているだけで怖い
ふむ、旨そうだ
味噌汁を頂いて、ご飯を盛ったら完成
配膳(味噌汁)が終わった女将さんは急いで食堂に来てテレビを見つめる
「なつぞら」というNHKの連ドラを、座れば良いのに立ったまま見続ける
連ドラは見ていないので話の内容は全くわからないが、女将さんが熱心に画面を見つめているので僕らも流し見をしながら食事をする。
戦後が舞台のようだ。服装が野暮ったい
テレビを見ない人なので俳優も誰一人として知らず「みんな顔が濃いなぁ」とか「クドイ演技だなぁ」なんて思う女将さんは僕の後ろにいるので気配でしか様子が伺えないが、ティッシュをシュルシュルと引き抜いた音を聞いて「あれ?もしかして泣いている?」大げさな演技とティッシュ音が連動する
とmこからは女将さんが見えるはずだが(泣いてる?)と聞くこともできず、泣いていると想定して邪魔しないように静かに食事を摂る
置かれている状況を冷静に考えたら吹き出しそうになったが、なんとか我慢した壮大な天丼回想シーン
泣く女将さん
食器を置く音にすら気を使いながら黙々と食事をする二人
硬い表情
心は笑顔
美味しいご飯
「私の若い頃を思い出しちゃってね」ドラマが終わった直後から言い訳するように、はにかみながら僕らに話す。いつも泣いてしまうとのこと
いつもみんなの前で泣いているの?うふふ、かわいい
遊楽の女将さんはかわいい
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