2017年11月宿泊
福島県大沼郡金山町本名 金山町本名上ノ坪1942
読み飛ばして大丈夫。本編は次から
人生初の一人旅は20年以上前、19歳のときに夜行列車で島根県へ。興奮というより不安でろくに寝れず体が鉛のように重くなったのをよく覚えている。元来、出不精な性格だから旅には興味が無い。今しているのも旅行ではなくて湯に浸かる手段として移動しているだけ。自宅から温泉が湧けば二度と旅行なんてしないと思う。俺はこういう人間だ。で、今回の旅行目的は「食」。一貫性が無いのが私である。一貫性がないだけで嘘はついたことはない。俺はこうだ、俺はこうだよ
一人旅一人旅・・・と念仏のように唱えながら一人旅再デビューに相応しい旅館を探す。家族連れやカップルから憐れみの目で見られることがなく、お湯が良くてとmこさんが悔しがりそうな美味しい料理がある所。鶴亀荘に予約を入れるが一人泊の連泊はお断りとのこと。ふ~ん、そうなんだ。一人泊は利益が出ないから連泊はだめなの?でも+5000円だしなぁ。仕方なしに一泊で予約を取る。
11月5日の夜に旅館から電話が来る。留守電に至急折り返してくれと。あ~ダブルブッキング来ちゃった?ついてねぇと電話を折り返す。「設備の故障でお湯が出ない。復帰は未定。部屋と料理の用意はできるけどどうするか?」電話口から聞こえる女将さんの声はとてもとてもテンションが低くて聞いているだけでこちらの気分も沈んでくる。それだけ深刻な状況なのだろう、と初めて聞く声から伝わってくる暗いムードを無視して「料理が目的なので構わない」と伝える。周辺にいくつか温泉があるのは予習済み。それに宿泊にはまだ日数はあるから運が良ければ元に戻っている、という打算もあった。なんとかなるだろう※2018年10月より温泉が復活しています
これは湯倉温泉共同浴場の張り紙ね
初めて選んだ一人旅の旅館を変えることは、正しくないような気がした。すでにつまづいてしまっているが旅館を変えるという大きな変更はこの先さらなるトラブルを抱えこみそうな予感があった
結局、当日まで温泉が復活することはなかった。新しい情報は「金山町観光情報センター」のtwitterでどうなっているのか知ることができた。ありがたい
二人旅が一人旅になっただけで、心はざわつき眠りが浅くなる。起こり得ない奇妙な旅行先のトラブルの夢を繰り返し見る。軽いプレッシャーになっているのだろう。旅行自体を初めてするような感覚に襲われとても嬉しい気持ちになる。旅行当日も、なんとなく気分が浮ついたまま仕事をする。とmこさんに「行ってきます」と声をかけて車に乗り込むも気分のうわつきは変わらない。運転に集中できず落ち着かない。あれ?やっぱ一人旅に向いてないんじゃない?高速に乗りクルーズコントロールにして北上する。二人でいても常に話すわけじゃないから一人で運転している状況と変わりは無い、が少し寂しい。
ふんふん、そうなのね。メランコリックなのね私。
暇つぶしに音楽の音量を上げてみる。二人でいるときにはできないくらい大音量に。曲もジャズからポップスに変える。自然と一人カラオケ大会が始まる。カラオケに最後に行ったのは10年前くらいか?声を出して歌うのも久しぶりだ。
それはとても楽しい。フリーになった足を踏み鳴らし大声で歌う。爽快爽快。一人旅は楽しい。
そんなものよ
普段出さない大声で喉を痛め、口は乾き、唇はガサガサだ。高速道路で水分補給もできない。
最悪だ
今回の旅行で気付いたが、二人でいるときに比べ一人旅は気持ちの振れ幅が大きい。
人目を気にすることがない分、良くも悪くも感情に制限がかからないのだろう
通り道の塩原は紅葉が綺麗だったが温泉街から外れると景色が冬に変わりだす。あれよあれよという間に路肩に雪が現れ始め道路にも積もり始める。南会津町から金山町に抜ける400号線は峠道でヘアピンカーブが多く峠頂上は普通に雪道。念の為にスタッドレスタイヤに変えておいたがノーマルタイヤだったら身動き取れなくなっていただろう。やべぇやべぇ
道の駅 からむし織の里しょうわ(map)
道の駅でここまでひと気がないのは初めて
車の往来も少なく、ひっそりとしている
三棟に分かれていて立派な建物だが、博物館は次回への宿題
店内にも当然自分しかいない。共同浴場用の両替を兼ねて買い物をするがお土産売り場のあまりの寂しさにキョドってしまいチップスターを一つ買う。コーヒーとかにすればよいのに。どこから見ても変な人だ
鶴亀荘に早く着いても仕方がないから、付近にある立ち寄り湯に行くことにする。
金山町のHPに一覧でまとめられている。
玉梨温泉(共同浴場・せせらぎ荘)とすぐ側の八町温泉共同浴場(混浴)
中川温泉福祉センターゆうゆう館
大塩温泉
滝沢温泉
そして今回の湯倉温泉
埼玉から北上して最初に遭遇するのが玉梨温泉と八町温泉。混浴には興味が無いので玉梨温泉共同浴場(map)へ向かう。せせらぎ荘は明日に取っておく
橋を渡ります。これは渡った後
駐車場はない。地元の人は路肩に停めていた
案内板に従って小径を降りる
予習しておけば見つけるのは難しくはない
こじんまりした建物だが男女別、脱衣所もある
3人入れば一杯の浴槽
今回いくつかお湯に浸かったがどこも鉄分を含んでいて床が茶色く変色している。あとはガスを含むのも共通点。投入量は25L/min程度か、湯船が小さいのでザブザブとオーバーフローする。温度は43度くらい(温度計を忘れたことにここで気づく)。運転中眠くならないように暖房を使わずに来たのでふくらはぎから下がジンジンと脈打つ。良いお湯だ。適度なあつ湯。ここで初めて「来てよかった」と思った。
対岸には八町温泉が見える。何かの作業中のようだった
まだ時間はある
道の駅 奥会津かねやま(map)
ここも貸し切り
「おみやげ買ってくるように」とmこさんに命令されているのでそれらしきものを買う
中川温泉
道の駅から見える位置にある。中川温泉福祉センターゆうゆう館「内」となっていて、日帰り温泉の体はない。雰囲気も老人ホームのそれで恐る恐る「温泉に入りたいんですけど」と声をかけて300円払う。
脱衣所
お湯は透明だが床はやはり茶色い
湯口は2つあったが出ているのは一つだけ。加温・循環なしの掛け流しなのでここのお湯も良い。が玉梨共同浴場には鮮度の点で敵わない
洗い場の設備が独特
いつの間にか日が暮れている
夕食の時間は分からないが17時30分までには着いておこう
到着する。駐車場に車はない
やっちまった…
この雰囲気は多分貸し切り。一人旅のハードルをさげる為にいろいろ調べやっとみつけた旅館。頑張って一番下まで下げた障害走のハードルが始まってみればリンボーダンスのバーだったなんて。旅館で宿泊客が他にいない、という経験はあるがこの状況はその時とは全然別の嫌な緊張が心を支配する。とmこさんの後ろに隠れたり(僕のほうが30cm大きいけど)他のお客の影に埋もれたりできないのだ。
神様神様、僕の願いを聞いてくれてありがとう。でもね、僕がしたいのは一人での旅行であって旅館に一人だけで泊まりたいわけじゃないの。似てるけど随分違うよ。おこだょ
頼む、他のお客いてくれえぇぇぇ!
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