旅館の前は常に濡れていた
ザ・昭和の旅館
時間が止まってしまったような空間。それは悪い意味ではない
液晶テレビを取り除いてしまえば「昭和の旅館資料館」的な美しさも感じる。こういう空間に身を沈めるのも旅行の醍醐味ではないか
中の人が吸っているであろう灰皿はいただけないが
自販機は有るので水分の補給には困らない。一番近いコンビニまで2.5km
エレベーターも古いというよりヴィンテージと表現したほうが良さそう
オシャレに見えてしまう
さらっと調べたら1970年代のものらしい。乗っていて不安になることはなかった
柏屋旅館ではこの廊下の光景とBGMがいつまでも頭から離れない
換気口のように見えるよれたスピーカーから絶妙な音が鳴る。実際に聴いてみて欲しい
めざめ・コンドルは飛んでいく・ゴッドファーザー愛のテーマ・パッヘルベルのカノン、そんな音楽が高音だけ強調され館内にハウリングのように響く。古めかしい光景と独特の音響は何故か強く心に何かを刻む。古い絵画の中に入ってしまったような驚き、不思議な孤独感、少しの狂気、色んな感情が湧く
201号室
10畳和室と
ベッドルーム的な
ん?使用済みのタオルが転がっている
念の為確認してみたが自分のタオルはきちんと有った
部屋は清潔だったので、この程度のアクシデントは気にならない
チェックイン時に200円を渡される
金庫で使うらしい
100円を入れてガシャンと鍵をかける。お金は戻ってこない。2回分の金庫代
エアコンは新しい
冷蔵庫の有料飲料は全て抜かれている。ボックスを引っこ抜けそうな気がするが、一応扉側で日本酒は冷やせた
トイレ
プラコップと歯ブラシ。
蛇口は綺麗だが、何となくここから出た水は飲む気になれず車に積んでおいたポカリを飲む
「Wifiのルーター?」と思ったがどうやらモバイルネットワーク用らしい
こんなアンテナが外に設置されている。
実際docomo回線はとても不安定でブチブチと切れる。Wifiは有るがロビー周辺しか使えない
それに「アクセスポイントが一時的にいっぱいです」ってなんだ?
モバイル回線が安定しない環境ではWifiが絶対必要な時代になった。テレビを娯楽に過ごすには寂しすぎるのでWifi網の構築は頑張ってほしい
部屋に荷物をおいたらすぐさま貸切風呂を借りに行く。6ヶ所あるから忙しい。貸切風呂の借り方はやや特殊で部屋の鍵と貸切風呂の鍵を交換する。恐らく鍵を返さない人が過去にいたのだろう。制限時間は40分ほどが目安だが、緩めな感じ
「おすすめの風呂は何処ですか?」
「まずは桐の湯に行ってみて下さい」
動画を貼っておく
第一印象は「変!」
湯船と木造建築物の調和が全く取れていない。湯船がナメクジのように徐々に和室へ侵入している最中にも見える
手入れされていれば印象も変わるだろうなぁ
湯船はとても大きくて8人はゆっくり浸かれる
源泉温度が高いから湯量で温度を調節しているが、桐の湯は熱めで気持ちよかった。
オーバーフローもしっかり
湯船から見上げると客室が丸見え
次は「雷霆の湯」だが、使っている人がいたので部屋で待機。空いたら内線で連絡してくれる
同じく動画
階段は場所によって撓む。そういう所は補強してあるが、全体的には随分老朽化が進んでいて頼りない印象を受ける
ちょっと感動した
僕にとって一番景観の良い露天風呂となった
どうぞ
この景色を見ていて「全ての自然現象は数式で表せる」的な話を思い出す。水の流れ、波紋、飛沫を数式で表示したら数字の洪水が出来上がるなと変な絵が頭に浮かんだ
そういえば「脱衣所が暗いので」とLEDランタンを貸してくれた
ほんとに暗くて全然役に立たなかった
程よいスペースが有ったのでここで脱衣する
温めのお湯で渓谷を眺めながらぼーっと過ごす
少し暗くなって工事用のライトが点く
明るくて便利だが、風情は無い
渓谷は暗くなるのが速い。当日は17時には薄暗くなった
そういえば雷霆の湯への道から木造の建物が見えた。これが本館だろうか
残り4つの貸切風呂は宿題に。体力が持ちません
大浴場で頭を洗いたい
人工芝的絨毯が敷き詰められている。この辺は苦手な人もいるだろう的な
男女入れ替えは無いのだろうか?アナウンスはなかった
不思議な機械。便利でした
小さい浴槽が男湯
松渓館のような天井。壁面には大谷石
気の仕切りの向こうは女風呂。
女湯のほうが広くて窓があって開放感がある
湯口は昔、龍だったらしい
シャワーのお湯は素早く温かくなる。優秀
塩の湯と言うだけあってよく温まりよく汗を掻く。滞在中スポーツ飲料を3L消費した
風呂と部屋を往復していると食事処から良い匂いが漂う。
風呂に行くには必ず食事処付近を通らなければいけないので「なんで一人泊は素泊まりしか選べないんだ」と何度も毒づいた。
挙句の果てに…
そうはいっても腹は減る。しかもスーパーに寄れなかったから日本酒とパンしか無い
日本酒もオサレになりつつ有る。こういう変化は大事だと思う
コップに注ぐと全くオサレではないがw
今回寄ったパン屋はハード系なので全てのパンが実に硬かった。
僕はハード系の方が好きなので美味しかったが「パン切り包丁が欲しい」と切実に思った。頑張って噛み砕いているとどんどん満腹中枢が刺激されて腹は満ちていないのに食べられなくなる
以下のパンは持ち帰って翌日の昼食へ
柔らかいまんじゅうは固いパンの後では天国のようだった
20時半に寝る。力のあるお湯と一人泊の変な緊張、一人酒で酔うのも眠くなるのも早かった。
鉄筋の建物だが夜は物音で数回目が覚める。が、眠気が勝ちすぐ寝てしまうを繰り返す。パンが硬すぎて歯が折れる夢を見た。
3時15分起床。ちと早いが6時半にはチェックアウトなので深夜から活動を開始。
洞窟にいるような気持ちで深夜の風呂に浸かる
温度は41℃でスルリと湯船に体を滑り込ませることが出来る。ほわっとしたお湯に包まれると再度眠気が襲ってきて心地よい。夜中はよほどの物好きがいなければ独占して入浴できる。やはり一人で気兼ねなく入れる風呂は極楽だ。
塩泉なので30分も入浴すれば芯まで温まる。一度部屋に戻り水分を補給する。
ほんの少しの2度寝を挟み、3回入浴した。日の出は5時50分。明るくなったらチェックアウトだ
6時10分に旅館を出て8時10分に職場に着いた。コーヒーを淹れ昨日のパンを温めて仕事前に一服する。眠気もだるさもない。良いスタートを切れそうだ
おしまい
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